ツァボライトとデマントイドの違い【緑のガーネット】

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ブルー以外のすべての色が存在するといわれるガーネットの中でも非常に人気の高い「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」。この二つの宝石は両方とも緑色をした宝石で近年では非常に人気の高い宝石です。しかし、宝石にそこまで詳しいという方でなければこの二つのどこが違うのかがよく分からないみたいですね。今回は最近『REJOU』にも多く問合せのあるデマントイドとツァボライトの違いについてご紹介します。

まずは二つの宝石を簡単にご紹介します

それでは最初に「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」がどのような宝石なのかを簡単にご紹介します。

デマントイドとは?

デマントイドガーネットはガーネットの中でも最も希少価値が高いといわれる宝石です。この宝石はロシアのウラル山脈で初めて発見され、宝石の緑色の原因はクロムを含むことによります。また、クロムの含有量はその含有量が多いほど濃く鮮やかな緑色を発色します。デマントイドの大きな特徴としてはホーステイルインクルージョンと呼ばれる内包物です。これは宝石の中に見られるアスベストの細かい毛状インクルージョンがまるで馬の尻尾のように見えることから名づけられたそうです。




ツァボライトとは?

『ツァボライト』とは所謂グリーンガーネットの事を指しています。緑色のガーネットは元々全てが「グリーンガーネット」という扱いを受けていて、デマントイドもグリーンガーネットの中に含まれていました。しかし近年ではその認識が変わり「グリーンガーネット=ツァボライト」になっています。ツァボライトはバナジウムとクロムを含有することで緑色の色相をしめしています。

ツァボライトのという名前には皆さんご存知のティファニーが関わっています。それは、ケニアのツァボ国立公園一帯で産出されたグリーンのガーネットをティファニー社が『ツァボライト』と命名しプロモーションしたことがきっかけです。

それでは二つの宝石の違いをご紹介

それでは本題の「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」の違いは何なのかについてご紹介します。

その1.ガーネットの種類がちがう

出典:http://www.cgl.co.jp/

まず第一にガーネットは赤色系パイラルスパイト系とウグランダイト系列に分けれれています。「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」はウグランダイト系列に属していますが、このウグランダイト系列もウバローバイト(Uvarovite)、グロッシュラー(Grossular)、アンドラダイト(Andradite)に分けられます。そして、デマントイドガーネットは『アンドラダイト』、ツァボライトは『グロッシュラー』に分類されます。
同じ緑色のガーネットですが実は『種類』が違うと言うのは驚きですね!

【デマントイドガーネット】アンドラダイトガーネットの緑色
【ツァボライト】グロッシュラーガーネットの緑色

その2. 緑色の色起因が違う

次に「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」はグリーンの発色起因が違うことをご紹介します。上でも簡単に触れましたが、デマントイドはクロム、ツァボライトはバナジウムとクロムを含有することが起因となりグリーンを発色します。『ツァボライト』が属するグロッシュラーは本来、色となる成分を持っていません。そこに微量のバナジウムとクロムを含有することで緑色になります。それに反してアンドラダイトは色の元となる鉄の元素を元々持っているため黄色や褐色の色相を持っています。そこにクロムが入る事によって緑色の色相を発色するようになります。

デマントイドは鉄起因のグリーン
ツァボライトは、クロム起因のグリーン

まとめ

今回は緑色の宝石の中でもトップクラスの人気を誇る「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」は同じように見えるけどどこが違うのかについて注目してみました。この二つは、そもそも種類が違うというのは驚きでしたね。しかし、深く見てみるとしっかりと科学的に分析されており、色の発色起因となる成分も違うことが分かっています。元々は両方ともグリーンガーネットとして区別がつけられてはいなかったそうですが、現在では『デマントイド』はデマントイド、『ツァボライト=グリーンガーネット』という認識になっているためその違いは憶えておいて損はありませんね。
「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」は産地や価格など、もちろん違ってきますがトップカラーのの物となるとなかなか見分けがつかないほどお互いに素晴らしい色を発色しています。「デマントイドガーネット」と「ツァボライト」の購入で迷ってしまったら自分の直感にしたがってお好みの物を選ぶのが良いかもしれませんね!



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