近年非常に高い人気を誇るのがスピネルです。スピネルは、ルビーのような美しさを持つレッドスピネルが有名ですが、実は他にもさまざまなカラーバリエーションがあるのです。そこで今回は、スピネルが持つカラーバリエーションや、カラーの違いによる価値にスポットを当ててみたいと思います。
そもそもスピネルとは?
名前/和名 | スピネル/尖晶石(せんしょうせき) |
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組成 | MgAl2O4 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 7.5~8 |
比重 | 3.58~4.12 |
それではまず、スピネルの基礎知識について簡単に触れておきましょう。スピネルは、コランダムの一種と間違えられることが多くあるのですが、酸化鉱物の一種です。和名は尖晶石(せんしょうせき)と言われ、モース硬度は7.5~8と、非常に耐久性に優れる宝石としてさまざまなジュエリーに用いられています。冒頭でご紹介したように、このスピネルは多くの色を持つことでも有名で、ルビーやサファイヤに酷似するレッドやブルーの物からピンク、パープルなどのカラーバリエーションを持っています。
なお、発見当初は、コランダム種と勘違いされてしまい、特に赤色を持つスピネルは長い間ルビーとして扱われてきたという歴史があるのです。ちなみに、スピネルとルビーが異なる鉱物だと判明したのは1783年と言われており、それ以前に作られていた王冠などにはルビーと間違われたスピネルが使われており、現代になっても歴史的なものとして残っています。有名なスピネルとルビーの取り違えは、イギリス王室の第一公式王冠の正面に飾られている「黒太子のルビー」です。ちなみに、スピネルだと判明した現在でも、その歴史に敬意を表して「黒太子のルビー」と呼ばれています。
スピネルのカラーについて
スピネルは、ルビーに匹敵する美しさを持つレッドスピネルが有名ですが、他にもさまざまなカラーバリエーションが存在します。レッド以外のカラーをご紹介すると、ブルー、ピンク、オレンジ、バイオレットなどと非常に豊富なカラーを持っています。ちなみにブラックダイヤに非常に似た見た目のブラックスピネルも存在します。
カラーによる価値基準では、レッドスピネルが最も高く評価され、コバルトブルーのスピネル、ホットピンク、オレンジのスピネルと続きます。バイオレットや青味がかったパープル、赤味のあるパープル、ラベンダー色など、紫系のスピネルもあるのですが、こちらはスピネルの求められるカラーではないとされ、上述したカラーのものよりも需要がかなり下がってしまいます。
ブラックスピネルの場合は、レッドやブルー、ピンクのスピネルと比較すると、安価に手に入れることができますが、近年ブラックダイヤの人気が急上昇していることもあり、今後その価値が高くなるかもしれません。
スピネルのジュエリーを購入する場合には、どのカラーのものでも、その色の美しさが非常に重要になります。濃厚でくすみのない鮮やかな色を持つものほど高い評価を受けると考えてください。他には、目に見える内包物が少なく、透明感が高いものほど高い値段がつくでしょう。カラット数は、もちろん同品質であれば大きいものほど価値が上がります。
まとめ
今回は、近年非常に高い人気を誇るスピネルのカラーバリエーションについてご紹介しました。スピネルと聞けば、ほとんどの方がルビーによく似たレッドスピネルを思い浮かべるのですが、じつは、ブルーやピンク、オレンジ色にパープルなど、非常に豊富なカラーバリエーションが存在しており、そのカラーによって大きく価値が異なるのです。
もちろん、スピネルを手に入れる時には、自分の好みに従って、カラーを選択すれば良いと思いますが、どういった物が高額になりやすいかは知っておいて損はないはずです。カラーの違いは、全く異なる楽しみ方ができますので、いろいろなスピネルを試してみてはいかがでしょうか。