ベリリウム拡散加熱処理されたパパラチアサファイアに注意!そもそもベリリウム拡散加熱処理って?

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宝石好きの方であれば誰もが憧れる宝石の一つパパラチアサファイア。パパラチアサファイアは、オレンジとピンクの中間である蓮の花のようなカラーをした特別なサファイアにつけられた名称で、世界3大希少石の一つにも数えられる非常に美しい宝石です。このパパラチアサファイアは、2001年頃にマダガスカル産の物が多く出回ったのですが、その後、それらのほとんどがベリリウム拡散加熱処理をされたピンクサファイアだと分かり大問題になったことがあるのです。
そこで今回は、そもそもベリリウム拡散加熱処理って何ののかからご紹介していきたいと思います。

世界3大希少石パパラチアサファイアとは?

まず最初に簡単にパパラチアサファイアについてご紹介しておきましょう。多くの人は「サファイア=ブルー」とのイメージが強いと思いますが、実はサファイアというものは非常に多くのカラーバリエーションがあるものなのです。ブルー以外のサファイアは『ファンシーカラーサファイア』と総称されるのですが、この中でもオレンジとピンクの絶妙な中間のような色合いのものだけに『パパラチア』が与えられるのです。因みにパパラチアとはサンスクリット語で蓮の花の色を意味する言葉です。パパラチアサファイアは、厳しい基準があり、ピンクが強すぎても、 オレンジが強すぎても『パパラチア』とは認められず、この厳しい基準からも「King of Sapphire(サファイアの王)」ともいわれます。

ベリリウム拡散加熱処理とは

それでは本題の「ベリリウム拡散加熱処理って何?」という点についてご紹介していきましょう。宝石というものは、『処理』が入ってしまうとすべてダメというわけではなく、宝石が本来持つ美しさを引き出すために何らかの処理を施されるということは珍しくありません。これらの『処理』には、天然石本来の美しさを出すための物が「エンハンスメント」、それ以外の人工的な処理を「トリートメント」などと呼ぶのですが、わかりやすい例でいうと『エンハンスメント=エステ』で『トリートメント=整形』といった感じですかね。
因みに、宝石の中でもトップクラスに知名度の高いサファイアは、そのほとんどが加熱処理といわれるエンハンスメントが施されており、未処理の物で美しいサファイアは『非加熱サファイア』などと表現され高値で取引されます。こういった加熱処理などのエンハンスメントは、あくまでも本来持っている美しさを引き出すための物で、「天然であること」を損ねない最低限の処理ととらえられています。一方、『ベリリウム拡散加熱処理』というものは、ピンクサファイアの表面にベリリウムを含ませることによって本来持っているはずのない、彩度の高いパパラチアカラーに『変化』させるものなのです。つまり、本来持っていないカラーを人工的に引き出しているわけですので、これは「天然」の物ではなくなってしまうので、無価値になってしまうのです。
『ベリリウム拡散加熱処理』されたパパラチアサファイアの特徴は、非常にインクルージョンが少なく、とても彩度が高いパパラチアカラーをしています。このような鮮やかなパパラチアカラーをしているのに、不思議なほど低価格といった場合には疑ってかかった方が良いでしょう。

パパラチアサファイアは鑑別書が重要

パパラチアサファイアは、元々統一された判定機中がなく、国ごとによって異なるマスターストーンで判定が行われていました、しかし、上述のようなものが出回ったこともあり、2003年に表記と基準に統一性を持つためにLMHCが組織され、『世界基準のパパラチアの色範囲の統一』が提案され、基準が設計されました。これにより、選別された10ピースのマスターストーンによって判定されるようになっています。現在では、ベリリウム拡散加熱処理されたパパラチアサファイアの場合、「拡散処理のサファイア」と明記されるため、鑑別書をもらっておくと非常に安心できますよ!

まとめ

今回は、世界三大希少石の一つにも数えられるパパラチアサファイアに関してご紹介してきました。本稿でもご紹介しているように、パパラチアサファイアには、ベリリウム拡散加熱処理をされて、美しいパパラチアカラーを出しているものがあるのです。そして、この処理をされたサファイアは、表面上は最高品質の物のようなパパラチアカラーをしているため、知らずに購入してしまう人も少なくないでしょう。
もちろん、宝石に施される処理すべてがダメなのではなく、基本的には加熱処理などは施されているものです。しかし、パパラチアサファイアはの価値は『無処理(天然)』のまま、あの絶妙なカラーを持っている事ですので、パパラチアサファイアを手に入れようと思たっと期には、必ず鑑別書を出してもらうようにしましょう。
因みに、ネット通販などでは「特殊な処理が行われています」「最新技術の処理がなされています」などと、非常にあいまいな表現の注記を入れて高値で販売しているような業者もありますので、注意しましょうね!

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