クリソベリルの産出国による違いをご紹介

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ギリシャ語で金色の緑柱石を意味する『khrusos beryl』が由来のクリソベリルは黄色、金色、黄緑、淡緑、褐色等の色を持った宝石です。クリソベリルの中でもアレキサンドライトやキャッツアイという宝石をご存知の方は多いかもしれませんね。今回はそんなクリソベリルの産地別特徴をご紹介します。

クリソベリルとは

クリソベリルは元々緑柱石の一種と考えられていましたが、1789年に独立した鉱物であることが判明しました。このクリソベリルのカラーには黄色、金色、黄緑、淡緑、褐色等の色合いがあるのですが、この色合いは宝石の中に鉄とチタンとを不純物として含むためです。クリソベリルという宝石自体はそこまで知名度が高い宝石ではありませんが、キャッツアイやアレキサンドライトという宝石名を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?実はこれらの宝石はすべて鉱物的には同じものです。

←の画像はインド産のパロットクリソベリル

産地別クリソベリルの特徴


それでは代表的なクリソベリルの産地別特徴についてご紹介します。最近ではインド産のパロットクリソベリルやタンザニア産のミントクリソベリル等が人気ですね。今回はそれ以外の産地についてご紹介します。

スリランカ産クリソベリル

まずはスリランカ産のクリソベリルです。スリランカは世界的にも様々な宝石が産出することで有名で、クリソベリルもその中の一つです。
スリランカ産のクリソベリルの特徴は鉄とチタンが多く含まれていることです。その為、スリランカ産クリソベリルは濃褐色の物が多く長い間トルマリンの変種と勘違いされていました。ちなみにスリランカでは1980年代以降大幅にクリソベリルの産出が減っています。

ロシア産クリソベリル

ロシア産クリソベリルは素晴らしく透明度の高い金色のものが特徴的です。ロシアのクリソベリルの主な産地はウラル山脈のタコワヤ川流域で、ここのクリソベリルはヴィクトリア朝時代、欧州で最も人気のあったクリソベリルの主要産地でした。ウラル産のクリソベリルは宝石用途以外にも時計の軸受けや精密機械用の材料としても欠かせないものだったそうです。クリソベリルはダイヤモンド、ルビーに次いでモース硬度も高いため工業用途としてもよく使用されます。
残念ながら現在ではほぼ絶産となっています。

ブラジル産クリソベリル

現在クリソベリルの主要産地はブラジルのミナス・ジェライス州サンタナ・アメリカーナ(Santana‐ Americana)川流域です。
ブラジルではクリソベリルの事を『クリソリータ』と呼び、非常に珍重されてきました。ブラジル産のクリソベリルは金色から黄緑の色合いで透明度の高い高品質なものが産出されます。また、日本でもとても人気の高いキャッツアイも産出されることで有名です。

マダガスカル産クリソベリル

マダガスカルも宝石の産地として有名で、特にルビーの産出では世界屈指の地位を気づいていますね。マダカスカルでは20世紀前半にクリソベリルの産出が報告されていましたが、1990年代半ばにアラオトラ湖付近で透明度の高い宝石品質のクリソベリルが産出しました。ここで産出するクリソベリルは、殆どが交差三連双晶で大きな結晶の物が産出し最大のもので径10cmに達するものもあったそうです。しかしこの鉱脈は既に枯渇してしまい、現在は島の南東部イラカカ川流域が主要な産地となっています。イラカカ鉱床は全長200kmもあると言われ、クリソベリル以外にも様々な宝石が産出することで有名です。過去には多色性を持ったクリソベリルであるアレキサンドライトの、なんと24カラットものルースがとれた原石が産出され話題にもなりました。

まとめ

今回は金色の緑柱石の意味を持つクリソベリルについてご紹介しました。日本ではパロットクリソベリルが爆発的人気になったことからクリソベリルの名前が広まった宝石ですが、アレキサンドライトやキャッツアイも鉱物的にはクリソベリルに入ります。クリソベリルは産地によって微妙な違いを持っていますので、お気に入りのクリソベリルを探してみてはいかがでしょうか?

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