夜の主役ペリドットの輝きの秘密

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古代エジプトでは『太陽の宝石』と呼ばれファラオの王冠や装飾品に使用されていたペリドットという宝石はご存知ですか?ペリドットはダイヤモンドやサファイアなどのメジャーな宝石と比較するとあまりなじみのない宝石かもしれませんが、エジプトでは現在でも国石として愛されています。今回は、『夜と昼の輝き』に違いが少ないと言われるペリドットの秘密に迫ってみたいと思います!

ペリドットとは

英名 Peridot(ペリドット)
和名 橄欖石(かんらんせき)
緑から黄緑
光沢 ガラス光沢
屈折率 1.64~1.69
硬度 6.5~7.0
比重 3.28~3.48
ペリドットはオリビン(かんらん石)の一種で、金色がかったライムグリーンから、豊かな萌黄色を持った宝石です。カンラン石自体は特に珍しい石ではありませんが、ペリドットと言われるような宝石質のようなものは非常に珍しく、宝石質の物の中でも萌黄色の色合いを持つものは非常に希少で人気があります。尚、ペリドットの緑色は結晶内に含有する鉄分によって発色するものです。
ペリドットはモース硬度が6.5-7.0と比較的低いため強い衝撃を受けると割れてしまいます。そのためペリドットのジュエリーは取扱いに注意する必要があります。またペリドットの大きな特徴の一つに『複屈折』というものがあります。ルビーやサファイアなども複屈折ですが、ペリドットほどは顕著ではありません。ペリドットに光が入ると、反対側の稜線が明らかに2重になって見えるほどです。このためペリドットは夜の少ない光の中でも驚くほど輝いて見えます。これによって『夜会のエメラルド』や『イブニングエメラルド』と呼ばれる要因になっています

複屈折とは、宝石に入った光が1筋の光として出て行くのではなく、2重の光となって出て行く性質を言います。

ペリドットの伝説


ペリドットには様々な逸話がありますので、その中からいくつかご紹介したと思います。まずは上でもご紹介したエジプトの国石になっているというものですが、ペリドットは古代エジプトの時代から当国で愛され続けているという点が大きいのだといわれています。古代エジプトでは太陽信仰がさかんで、ペリドットの色は太陽神ラーの金色の光を受け継いだものと考えられていたそうで『太陽の石』として非常に大切にされていたそうです。他にも中世ヨーロッパでは十字軍がペリドットを戦利品として持ち帰り「十字軍のエメラルド」と呼ばれたそうです。『十字軍のエメラルド』からわかるようにペリドットは昔からエメラルドとよく混同されます。
近年のペリドットの逸話と言えば宇宙から飛んで来た、石鉄隕石の中にペリドットが含まれいるものがあるということです。ペリドットが含まれている隕石は、「鉄とニッケル」の合金の中にペリドットが含まれているのですが、地球上で形成される鉱物では考えられない構成をしているそうです。ちなみにペリドットを含んだ隕石は『パラサイト隕石』と名付けられており、隕石から採取されるペリドットは『パラスティック・ペリドット』呼ばれます。しかも隕石から採取された『パラスティック・ペリドット』は市場に流通しているというから驚きですね。

2003年に火星でペリドットが発見されました。そのためペリドットは地球以外で初めて発見されたジェムストーンになりました。

まとめ

今回は美しいグリーンと夜の少しの明かりでも強く輝くペリドットをご紹介しました。ペリドットはその輝きの強さからはるか昔から世界各地で愛されてきた宝石だったとは驚きではないですか?しかも近年では地球以外でもペリドットが見つかり、隕石として地球にやってきているなんて素敵ですよね。宇宙産のペリドットのジュエリーなんて一度は手に入れてみたいものですね!

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