産地によって違う『ルビー』の特徴をご紹介!

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ダイヤモンドやサファイアなどと並んで『宝石とは?』と聞かれて真っ先に思い浮かぶものの中には『ルビー』が必ず含まれているのではないでしょうか?年代を問わずどなたにも愛されているルビーですが、今回は産地によって微妙に違うルビーの特徴にスポットを当ててみたいと思います。

ルビーってどんな宝石?

名称/和名 ルビー/紅玉
鉱物名/組成 コランダム/Al2O3
モース硬度 9
比重 3.99~4.05
屈折率 1.762-1.770
赤、帯紫赤色

『ルビー』と言えばなんといってもその赤色が非常に美しい宝石ですね。この『ルビー』という宝石は「コランダム」という鉱物で、実は鉱物的には美しいブルーで有名なサファイアもコランダムになります。コランダムは酸化アルミニウム (Al2O3) の結晶からなる鉱物で、ここに含まれる不純物の違いでルビーやサファイアになります。コランダムは全く不純物が含まれていない状態だと無色透明ですが、ここに微量のクロムイオンが混じると赤色を発色し『ルビー』と称され、鉄イオンが混じると青色を発色しサファイアとなります。最高品質のルビーは深く透明で濃い赤色を持っており「ピジョン・ブラッド」と呼ばれます。

産地によって違うルビーの特徴

ルビーは世界でも多くの場所で産出されます。その中でもミャンマーで産出されるものが最高級とされますが、他にもタイ王国、スリランカ、ベトナム、カンボジア、モザンビークなどが有名です。そしてルビーはその産地によって特徴が違います。個々では産地によるルビーの特徴をご紹介します。

モゴック産ルビー

ルビーと言えば『モゴック産』と言われるほど代表的な産地です。モゴック地方は良質なルビーが産出されることで有名で、ルビーの最高峰『ピジョン・ブラッド』もモゴックで奇跡的な確率で産出するものです。この地方で産出するルビーの特徴は適度な濃さを持つ赤色で、その濃すぎず凝縮された赤色は世界中に非常に人気が高いです。モゴック産ルビーは他にもシルクインクリュージョンやスタッビィインクリュージョン等の糖蜜状模様も特徴です。

タイ産ルビー

タイ産ルビーの特徴は『黒さ』です。サファイアの中で濃い色(インクブルー)を持ったものは殆どがオーストラリアで産出され「オーストラリアンサファイア」と呼ばれます。それに対して濃く黒味のある赤色のルビーは『タイルビー』と呼ばれるほどタイ産のルビーは『黒さ』が特徴です。タイ産ルビーの黒さは鉄分を含んでいるためで、その黒味のあるルビーは「ビーフ・ブラッド(ウシの血)」ともいわれます。
タイ産のルビーはその黒さゆえ元々は評価が低かったのですが1960年代に加熱処理の技術が向上したことによりシェアを伸ばしました。近年ではモンスー産のルビーにそのシェアを奪われ新たに市場に出ることは無いそうです。

モンスー産ルビー

モゴックで有名なミャンマーですが、ミャンマーモンスー産のルビーも有名です。この地方のルビーは淡い褐色をベースカラーにしていることから元々は相手にされていませんでしたが1990年代に加熱処理技術の向上によりタイ産ルビーの地位にとって代わり大きくシェアを伸ばしました。ただモンスー産ルビーはインクルージョンが非常に多いことや、小粒の者が多いという特徴も持っています。

モザンビーク産ルビー

モザンビークはルビーの産地としては最も新しい地域と言えます。元々、ポルトガルの植民地時代に少量のルビーが産出されていましたが、2008年以降新たに開発された鉱山から大量のルビーの原石が産出されるようになりました。
この地域のルビーはミャンマー産のものと比較すると少しオレンジの色味を持つ赤色で、上品さを感じるルビーだと人気は高いです。モザンビーク産ルビーは品質が非常に高いものが多く産出されますが、宝石の世界は伝統が重んじられる文化でもあるため、最近産出され始めたモザンビーク産ルビーは当初、モゴック産の物に比べると10分の一程度の市場価値しかありませんでした。最近では2割程度まで持ち直しており、今後今のクォリティーが維持されればモゴック産の次に評価されるようになるのではないかと言われています。

まとめ

今回は産地によるルビーの違いをご紹介しました。ルビーの最高峰と言えばやはりモゴック産『ピジョン・ブラッド』になりますが、世界各地で産出されているルビーの多くも非常に美しいものです。それには加熱処理の技術が飛躍的に向上したという背景があり、今まで見向きもされなかったルビーが美しい輝きを持つことができるようになったからです。消費者からすれば手の届く価格帯でいろいろなルビーをえり好みできるのは非常にうれしいものですよね!

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