エメラルドにおけるエンハンスメント解説

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数多くあるグリーンの宝石の中でも代表格のエメラルド。エメラルドはダイヤモンド、ルビー、サファイアと並んで「四大宝石」とも言われるほど人気のある宝石です。古くは古代エジプトのクレオパトラもこのエメラルドを非常に愛していたとも言われるほど美しい宝石で非常に人気の高い宝石です。今回はそんなエメラルドのエンハンスメントについてご紹介したいと思います。

エメラルドとは?

まずはエメラルドについて簡単にご紹介します。
エメラルドは鉱物的に「ベリル」というグループに属しており、同じベリルに属する宝石には美しいブルーで人気の高いアクアマリンやピンク色のモルガナイトがあります。
エメラルドが他のベリル系の鉱物とは違いグリーンを発色するのは、ベリルの中にクロムやバナジウムを含む為です。エメラルドはキズが多い物が多く、明るく濃い緑色をしたエメラルドは非常に希少価値の高い宝石として人気です。
エメラルドの主要な産地はコロンビア、ブラジル、ザンビアの3カ国で、なんとこの3ヵ国で世界のエメラルドの9割が産出されているそうです。この中でも上質なエメラルドはコロンビア産の中によく見られます。

市場に出回っているエメラルドのほとんどは加工済!?

エメラルドは採掘された際、その結晶にインクルージョンが生じているものが多いです。そのため、そのままの状態でカット、研磨などの加工を施すと、インクルージョンが拡大したり、割れてしまったりする原因になります。そのため市場に出ているエメラルドのほとんどはオイル加工(含浸処理)が施されています。

左の画像は良質なエメラルドが採掘されることで有名なコロンビア産のエメラルドの原石です。
画像を見ていただくとわかりやすいと思いますが、エメラルドは上にも紹介した通りインクルージョンがとても多く見られます。
このインクルージョンが原因となり研磨の時に割れる原因になります。そのためエメラルドはダイヤモンドなどとは違いシンプルなカットの物が多くみられるのです。

引用:http://www.gia.edu/JP/gem-treatment

上の画像はカット後のエメラルドです。エメラルドの原石はカットを施すと表面にフラクチャー(ひび割れ)が現れます。このフラクチャーを目立たなくするためにオイルやワックスを浸する処理の事がエメラルドにおけるエンハンスメントです。

見た目がクリアなエメラルドは非常に希少です

エメラルドはグリーンの宝石の中でも非常に人気の高い宝石ですが、その中でも特に評価が高い物は、『鮮やかな色で暗すぎない色調の、帯青緑色から純粋な緑色』をした透明度の高いエメラルドで、目に見える色帯がなく均一な色彩の物です。
上でもさんざんご紹介している通り、エメラルドという宝石は一般的に肉眼で見えるぐらいのインクルージョンが含まれていることが普通です。そのため、販売業者にしても宝石に詳しい消費者にしても『エメラルド=インクルージョンが含まれる』という認識になっていて、インクルージョンがあっても普通に売買されるのが普通です。万が一、上で紹介したような色調でクリアなエメラルドを見つけた時は非常に希少な物であるので是非、手に入れたいものですね。もちろんその分、価格はとても高額な物になります・・・

ノンオイルエメラルド(無処理)

ほとんどのエメラルドが通常なされる処理として、上記で説明したようにオイルか天然樹脂で加工されています。しかし、加工を施さずとも美しいのが“無処理”のエメラルドなのです。
こういった“無処理”のエメラルドは、オイルにつけないことから【ノンオイルエメラルド】とも呼ばれます。

まとめ

今回はグリーンの宝石の中でも特に人気の高いエメラルドにおけるエンハンスメントについてご紹介しました。
宝石に興味があって少し勉強しているような方はエメラルドにはインクルージョンが含まれることが普通というのは当たり前かもしれませんが、一般の人は知りませんよね。宝石は自然が作った物なので、石に含まれる成分や作られた環境によってそれぞれいろいろな特徴を持っています。自分の好きな宝石がどのような特徴を持っているか少し調べてみるのもおもしろいかもしれませんね!

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